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“アンチフットボール”など、「どーだっていい」。フランスを優勝に導いた草食男子の精神【ロシアW杯】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

レ・ブルーの戦士たちは現代のフランス人男子?

アントワーヌ・グリーズマン
グリーズマンは戦い方について批判されると「どーでもいい」と言ってのけた【写真:Getty Images】

 彼らが本格的に優勝を意識するラインに立ったのは、アルゼンチン戦での勝利の後だ。この試合は国内でも、勝つだろうという期待は持ちながらも実際のところはどうか? という微妙な空気があった。

 しかしリオネル・メッシ擁する前大会のファイナリストに、1-2と一時は逆転された後に再び逆転して勝利したことで、エンジンに火がついた。

 この時点では、自分たちのプレーに対する迷いも完全に消えていた。プレー方針が明確になったことで、それぞれ自分たちがやるべきことをはっきりとわかった上でプレーできるようになったからだ。

 それで勝利を重ねると、ますます自分たちのプレーは正しいという確信は膨らんでいった。

 思えば本戦前のテストマッチ、イタリア戦の時点では、デシャン監督は「とにかくあらゆるリスクを恐れずに攻めろ!」と指示していた。それを本戦ではスパッと現実路線に変更し、堅守速攻を貫いた。

 準決勝戦の後、敗れたベルギーのGKティボー・クルトワが超ディフェンシブなフランスの戦い方を非難したことに対しても、アントワーヌ・グリーズマンはケロッと言ってのけた。

「そんなことどーーーーーだっていい。どんな戦い方だろうと、優勝できたらそれがすべてだ」

 目的のために手段を選ばない、この超リアリストっぷり。それが今大会に優勝したレ・ブルーの正体だ。それともうひとつ、受け身の精神。

 彼らの戦い方は、常に受け身だった。相手の出方を見てから、相手に合わせて動く。

 でもこれは、現代のフランス人男子の特徴である気もするのだ。フランス人の女子友達が嘆いている。

「最近のフランス男は全然自分からアプローチしてこないんだから! オフィスでもバーでも、気のあるそぶりは見せるくせに、自分からはなんにもしないで、こっちが仕掛けるのを待ってるのよ!」

 相手に仕掛けられてから動く? まさにレ・ブルーBoysと同じではないか!

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