「黄金世代」の隆盛はいつまで続くのか
英『スカイ・スポーツ』は試合を終えて「イングランドはワールドカップにおけるセットプレーの王だったが、3位決定戦に敗れ、ベルギーに足りないものを思い知らされた」と評した。セットプレーの強さが際立ったことで「ワールドカップでは創造性の問題が見えにくくなっていた」とも。そこで一番に名前を挙げられたのが「編曲家(Orchestrator)」の称号を戴いた背番号7である。
「デ・ブライネはアザールによるベルギーの2点目でアシストを記録したが、ロメル・ルカクの無駄がなければもっと簡単により多くのゴールを奪っていただろう。彼はルカクがゴールを決めるために針の穴を通すようなパスで2度もイングランドのディフェンスを切り裂いたが、マンチェスター・ユナイテッドのストライカーはボールをコントロールできず2度とも失敗した。ベルギーはイライラしただろうが、ラストパスするか深い位置からカウンターを仕掛けるのかにかかわらず、デ・ブライネのビジョンと執行は完璧だった」
ベルギーの「黄金世代」は頂点に立つ大きなチャンスを逃した。デ・ブライネという「創造主」を擁しながらも、あと一歩が足りなかった。では、彼らはEURO2020や4年後のカタールワールドカップを目指すのだろうか。赤い悪魔の背番号7は、自身の去就について言葉を濁し、今の状態を継続することの難しさに理解を示した。
「(代表キャリアを続けるかは)わからないな。もし監督に選ばれればここにいるだろうけど(笑)。他の何人かの選手たちは続けるか、続けないかを決めなければいけないかもしれないね。1シーズンで60〜70試合に出場するのは簡単ではない。僕たちはほぼ毎年ノンストップで働き続けてきたから、みんな何かしらの決断をしなければならないだろうし、その選択を尊重しなければいけない。彼らにプレッシャーをかけることはできないよ」
戦術的に統制され、魅力あふれるベルギーのサッカーをもっと見たいと願うファンは多いはず。だが、強烈なプレッシャーに晒されながら戦い続けてきた彼らに無理強いすることはできない。世界最高のクオリティを証明したデ・ブライネや、「黄金世代」の選手たちはワールドカップを終えるとともに決断の時を迎える。
(文:舩木渉)
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