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ベルギーの「あのカウンター」が成功する理由。日本も英国も葬った“創造主”デ・ブライネ【ロシアW杯】

ロシアワールドカップの3位決定戦を制したのはベルギーだった。並みいる強豪相手に印象深いサッカーを見せてきた赤い悪魔たちは、過去最高成績を母国にもたらし大会を去る。「黄金世代」とも言われる今大会のベルギーをけん引したケビン・デ・ブライネは、イングランドとの最後の試合でもクオリティの高さを遺憾なく発揮した。(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「後悔はない。W杯の3位を誇りに思う」

ケビン・デ・ブライネ
デ・ブライネはベルギー代表としてワールドカップで過去最高の3位に入ったことを喜んでいる【写真:Getty Images】

 現地時間14日、ロシアワールドカップの3位決定戦でイングランド代表を0-2で破ったベルギー代表。過去最高のベスト4を超え、3位で大会を終えた。

「フランス戦に負けた後、僕たちは3位決定戦でも勝利を追い求める精神を示した。後悔はない。フットボールでは時々、負けを受け入れなければいけないこともある。僕らは7試合を戦って、負けたのはたったの一度だけだった。でも、アマチュアチームと戦っていたわけではなくて、フランスというビッグプレーヤーばかりの強豪が相手だった。彼らはとても良い大会を過ごしている。僕らはワールドカップで3位になれたことを誇りに思うよ」

 試合後、ベルギーの公共放送局『RTBF』のインタビューに対して、ケビン・デ・ブライネは史上初の3位フィニッシュについてこのように述べた。ベルギー代表史上最高のチームとなったわけだが、2014年のブラジルワールドカップから、2016年のEURO、そして今回のロシアワールドカップとメジャーな国際大会に続けて参加しているデ・ブライネは母国の成長を肌で感じている。

「僕はレッドデビルス(ベルギー代表の愛称)で3つの大会に出場してきたが、今回がベストだ。毎回全てが良くなってきている。僕たちはこのグループで何か特別なことを成し遂げようと頑張ってきたけど、それは成功したと思う。32チーム中の3位で大会を終えられるのは、悪くない」

 ベルギーの中心を担うのは「黄金世代」とも言われる20代中盤から後半にかけての選手たちである。もちろんデ・ブライネもその1人だが、4年後に多くの選手が30歳を超えてしまうことを考えると、ロシアワールドカップが世界の頂点に立つ最大のチャンスだった。

 プレミアリーグをはじめとした主要リーグの強豪クラブでレギュラーを張るスター選手をずらりと揃え、圧倒的な攻撃力で勝ち進んできたベルギー。だが、デ・ブライネ自身が昨年11月の日本戦直前、ロベルト・マルティネス監督によるチーム作りに明らかな不満を漏らし、指揮官を批判していたことも記憶に新しい。

 昨年11月10日のメキシコ戦に3-3で引き分けた後、デ・ブライネは「ベルギーはあまりにタレントに頼りすぎている。メキシコのFWが高い位置を取り続け、ベルギーの5バック(3バックと両ウィングバック)は低い位置で守備をしなければならなかった。その結果、中盤がら空きの状態で試合を始めてしまった。良いワールドカップになるといいけれど、いまだにこの課題の解決策を見つけられないのは…。僕は監督に対して『戦術に関して良い解決策を見つけなければ』と伝えた」と地元メディアの前で語ったのである。これは監督批判と捉えられてもおかしくなかった。

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