戴冠へのポイント
モドリッチ、ライティッチを中心としたボールワークを最大限に発揮するなら、中盤の底にブロゾビッチを置くべきだろう。準々決勝のロシア戦ではクラマリッチがトップ下、モドリッチとラキティッチの2ボランチという立ち位置だった。この布陣だと前に人数を割ける半面、後ろとの距離が間延びしてしまい、攻守のバランスが欠けてしまった。
フランスにそうした隙を見せるのは命取り。カウンターが鋭いチームのため、中盤にスペースを与えてしまえばポール・ポグバらが自由に前を向き、キリアン・エムバペやアントワーヌ・グリーズマンに決定的な仕事を許すことになるだろう。ブロゾビッチをアンカー的に起用し、モドリッチとラキティッチを中心にボールを動かす。さらに、一人で数人分の働きを見せるエンゴロ・カンテの網にかからない工夫が必要で、得意のサイドチェンジで相手の目先を変えさせたい。
ポゼッション率が高まればそれだけ、相手に速攻を受ける機会が増えると予想され、フランスが狙っているのもそこだろう。しかし、気後れする必要はない。技巧派揃いの選手たちが生きるにはボールを握りたいところだ。むしろ、自陣から離れようとポゼッションを放棄するようだと相手の思う壺だろう。
クロアチアは歴史に名を刻むことができるだろうか。優勝すれば、黄金は永遠に輝き続ける。
(文:青木務)
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