ベルギーを唯一完封。フランスの守備力
フランス代表は、自国開催の1998年大会以来となる優勝を狙う。今大会、ここまで5勝1分け。グループリーグでは、あくまで「調整」と割り切った戦いを見せ、決勝トーナメントではアルゼンチン、ウルグアイ、ベルギーを相手に3試合すべて90分で勝利を挙げた。
チームを指揮するディディエ・デシャン監督は、現役時代には主将として98年大会を制し、監督として14年大会でベスト8、16年EUROでは準優勝。その経験を生かし、今大会に向けたチームのマネジメントは万全なものとなった。
大手ブックメーカー『ウィリアム・ヒル』による勝敗予想オッズでは、フランスに1.91倍、クロアチアには4.5倍が付けられている。
クロアチアは決勝トーナメント3試合すべて延長を戦っており、試合時間ではフランスを1試合分多くプレーしていることになる。さらに日程の都合によってフランスの休養日が1日多い。コンディション面での優位性もオッズに反映されていると思われる。
とはいえ、全体を通しては「圧巻」と評されるようなパフォーマンスは少なかった。選手個々では、アルゼンチンとの決勝トーナメント1回戦でキリアン・エムバペが見せたスピード感あふれるプレーが「圧巻」と呼べるものだったが、その他はどちらかといえば「手堅い」という印象のチームである。
特にベルギーとの準決勝では、大会屈指の攻撃力を持つと言われ実際に3位決定戦を含めて16得点を挙げた相手を唯一の無得点に抑えて勝利を遂げた。アルゼンチンを相手には3失点を喫したものの、それ以外の失点はオーストラリアとの初戦のPKのみ。決勝進出の原動力となったのは守備力といえるだろう。
この守備力の源となっているのは、守備的MFのエンゴロ・カンテによる地味ながらも「圧巻」のパフォーマンスがあった。