ロナウドはユベントスファンに受け入れられるか?
さてユーベは7連覇中。昨季のリーグ戦は接戦となったが、彼らがC・ロナウドなんかを獲得してしまったら、他のクラブとは再び差がつきそうなものだろう。ただ国内はしらけムードではなく、むしろスターの到来は単純に歓迎されている。
ガゼッタ・デッロ・スポルトは「移籍した効果により、セリエAの競技レベルはアップ。また各クラブ興行収入も見込まれ、合計で1億ユーロから2億ユーロの上乗せが期待される」と報じた。
選手の年俸総額はなんとC・ロナウド一人を下回るという昇格組のフロジノーネは「実は我われもクリスティアーノの獲得に乗り出していた」などというメッセージを公式SNS上に掲げていた。
そういったプロビンチャのクラブが戦術を詰め、どうC・ロナウドに対抗するのかというところも楽しみとなりそうだ。
もっとも、巨額年俸選手の獲得に反発する向きもなくはない。ユーベの親企業グループであるフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)メルフィ工場の労組が「不景気を理由に緊縮経営を敷き、我々に犠牲を強いておきながら選手一人に一億ユーロとは」とストライキを宣言した。
「FCAとユーベは別企業であり、労働者の権利に直接関わりがない理由の労働争議は世間に誤解を与える」と全国の労組からは批判も出されたが、そういう感情を抱えている人がいるというのは事実だ。
ユベントスは伝統的に労働者層を多くファンに抱えるクラブであり、それは勤勉で実直なチームカラーと密接に関わる部分でもある。C・ロナウドを迎えて彼らがどうなるのか、厳しく見られるところはあるのかもしれない。
ただ彼があれだけの体を作り上げ、実直に結果を出し続ける背景には、甚大な努力があることは容易に想像できる。その辺りはまさしくユーベのカラーと合致していると思うのだが…。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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