ネドベド副会長のカリスマ性が心を動かす
しかしそれでも、堅実経営を図っていたジュセッペ・マロッタGMが、3000万ユーロもの年俸の捻出をいきなり決断するとはにわかに信じがたいものがあった。
だがこれは、ユーベがリスクを冒したわけでも、博打を打ったわけでも、身の丈を考えず代理人の口車に乗らされたというわけでもなさそうである。むしろ彼らは熟慮し、しかも計画を練った上でのC・ロナウド獲得だと見るのが正しいようだ。
11日、ラ・レプッブリカは「C・ロナウド側への接触はかなり前から進められており、昨季12月にはパベル・ネドベド副会長が直接話をし、クラブのプロジェクトなどを説明していた」と報じた。
同紙で移籍情報を担当するジュリオ・カルドーネ記者に話を伺うと、「まさにこの移籍は長期の準備が実ったものだ」と明かし、次のように話した。
「ネドベドが自身のカリスマ性などを用いてC・ロナウドに話をした結果、彼の心は動き、ユーベ移籍へ意思を固めて他を希望しなかった。1月にはレアル・マドリーから1億ユーロの違約金で放出を許可するという暗黙の了解を取り付けているが、これはまさにユーベが接触してきた時系列と符合するものだ。そしてマロッタGMやアンドレア・アニェッリ会長は多方面とディスカッションを取り、C・ロナウド獲得を可能にするためのビジネスプランを練っていた」
堅実経営をうたうユベントスだが、重要な点は彼らが決して単純な緊縮経営をしているというわけではなく、経営規模を着実に拡大してきたということである。
2011年からイタリアでは他のクラブに先駆けて専有スタジアムの供用を開始し、クラブのブランド再構築のためにクラブのロゴも変化させるマーケティング戦略も地道に行った。
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