妥当な結果だった逆転劇
準決勝までの道のりの中でチームが見せてきたプレーの中には、そういうデータに表される以外の部分があったことも確かだ。だが結局のところは、ルジニキ・スタジアムで対戦した相手が持っていたような、ポゼッション時のクオリティーや落ち着きが不足していたという感覚が付きまとう。
試合終盤になりチームが必死に直接的なプレーを繰り出すようになっていくと、エミール・ヘスキーやピーター・クラウチの投入を期待してしまうかのようだった。
最終的に、準決勝の120分間を通してイングランドが放つことができた枠内シュートはトリッピアーが決めた1本だけだった(クロアチアは7本)。試合が終盤に入りチームが急ぎすぎるようになると、クロアチアにボールをプレゼントしてしまうばかりだった。
ルカ・モドリッチとその仲間たちはボールを大事にし、落ち着きをなくしていく一方のイングランド守備陣に穴を開けていった。マリオ・マンジュキッチのゴールがイングランドファンの夢を打ち砕いたのは当然の流れであり、きわめて妥当な結果だった。
準決勝での敗退というのは、大会を終える上で最も辛い形だと言われることも多い。だが日本の負け方はそれ以上に受け入れがたいものだったと言えるだろう。
ベルギー戦で大会屈指の好ゲームを演じながら、事実上のラストプレーでやられてしまった。その直前の本田圭佑の見事なフリーキックが決まっていれば、勝負はサムライブルーに軍配が上がっていたはずだった。
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