守備力が光ったクロアチア
事実、前半だけのスタッツを見ると支配率はクロアチアの52%に対しイングランドは48%。シュート数も前者の5本に対し後者は4本と押し込んでいたのはクロアチアだった。
後半、いつ同点に追いついてもおかしくはないという雰囲気の中、時間は流れていったが、やはりクロアチアが得点を奪った。68分、右サイドからシメ・ヴルサリコがクロスを上げると、ファーサイドで待っていたイバン・ペリシッチが反応。左足で合わせネットを揺らした。
マークについていたはずのトリッピアーはこのシーンで完全にペリシッチを見放してしまった。また、ボールウォッチャーになっていたカイル・ウォーカーも背番号4の存在には気づかず。また、サイドからサイドへの展開が多かったクロアチアがイングランドのDF陣を揺さぶったことで、左ウィングバックのアシュリー・ヤングのスライドが遅れたことも一つのポイントだ。そのため、ヴルサリコがフリーな状態でクロスを上げることに成功した。
追いつかれたイングランドは反撃に出ようと試みるが、クロアチアのDF陣を前に効果的な攻撃を繰り出すことはできなかった。デヤン・ロヴレン、ドマゴイ・ヴィダの2CBは安定しており、カウンター時の対応もほぼ満点。スリーライオンズのセットプレー時はやはり脅威だったが、ハリー・ケインは影を潜めており、ジェシー・リンガードやデル・アリなどもシュートまで持ち込む場面は少なかった。
モドリッチまでもが最終ラインに加わるクロアチアの守備はそう簡単には崩れない。ボールを保持するヴァトレニに対してスリーライオンズはカウンターしか出せる手がなく、長いボールを前線に供給しては跳ね返されるだけ。セカンドボールを拾えていたのは唯一良かった点だが、以降が続くことはなかった。90分間、イングランドは苦しめられていたと言ってもいいだろう。