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イングランドで高まる52年ぶり戴冠への期待。躍進に導いた「ゆとり世代」を操る指揮官の手腕【ロシアW杯】

ロシアワールドカップの準々決勝が、11日に行われる。28年ぶりにその舞台への挑戦権を手にしたイングランド代表だが、大会前の下馬評は決して高くなかった。では、なぜここまで勝ち進むことができたのだろうか。グループの組み合わせに恵まれたくじ運だけでない理由があった。(取材・文:松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

22年前の応援ソングが再ヒット。高まる国民の期待

イングランド代表
イングランド代表がワールドカップ準決勝に挑む。国民からの優勝への期待は高まるばかり【写真:Getty Images】

 白熱したロシアワールドカップも残りわずか。準決勝まで残ったのはフランス、ベルギー、クロアチア、そしてイングランドの4チームだ。イングランドがメジャー大会でセミファイナルに進出したのは、自国で開催したEURO1996以来となる。ワールドカップに限れば、1990年のイタリア大会まで遡らなくてはならない。

 久々の代表の活躍により、イングランド国内は大きな盛り上がりを見せている。大衆紙『ザ・サン』によると、直近の準々決勝対スウェーデン戦は、国民の半数以上に上る3000万人が観戦したとされている。また、前述のEURO1996の際に流行したイングランド代表応援ソングである「スリーライオンズ」がリバイバルヒットを果たし、先週末の時点ではヒットチャートのトップに躍り出たほどだ。

 当時、コメディアンのフランク・スキナーとディビッド・バディールがザ・ライトニング・シーズというバンドとともに作ったこの曲は、「フットボール・イズ・カミング・ホーム(フットボールが帰ってくる)」というシンプルでキャッチ―な歌詞とポップなリズムが特徴だ。これまでも、スタジアムへ行けばこのリズムに合わせたチャントを耳にしたことは頻繁にあったが、現在は普段サッカーを見ない“にわか”ファンの心さえも掴んでいる。

 セミファイナル進出を果たしたとはいえ、大会前の国民の期待は非常に低かった。識者の中には「特大の期待が重圧に変わり、屈するのがいつものイングランド代表。だから今回は逆に奮闘するかもしれない」と冗談めかす人もいたほどだった。今となってはその言葉がまんざら的外れではなかったような気もしてくる。

 しかしながら、躍進の最大の理由はそこではない。もっとも単純な答えは、くじ運の良さではないだろうか。以前のイングランド代表は、言い訳と言えばそれまでだが、ビッグトーナメントのグループリーグで強豪と同組に“なったり”もしたために、上位進出できないこともあった。例えば前回ブラジル大会はグループ最下位で敗退したが、ウルグアイとイタリアと一緒の組になったうえ、最終的にグループ首位で決勝トーナメントに進出したコスタリカも絶好調だった。

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