イングランドの長所はやはり…
一方、イングランドのストロングポイントはやはりセットプレーになる。ここまで全11得点中、実に8得点がCK、FK、PKによるもの。ガレス・サウスゲイト監督の下、スリーライオンズは確実にセットプレーに力を入れている。
基本的には身長193cmの体格を誇るハリー・マグワイアが第一ターゲットになるが、場合によっては同選手をおとりに使い、ジョン・ストーンズが飛び込んでくるなど様々なオプションを使いこなしている。
デンマーク戦ではロングスローから、ロシア戦ではFKからゴールを決められているクロアチアからすると、イングランドのセットプレーは確実に脅威となる。DF陣は、なるべくゴールに近いエリアでファウルを犯さないことが重要となるはずだ。
とはいえCKやFKを0本に抑えることは不可能な話。デヤン・ロヴレンやドマゴイ・ヴィダら身長の高い選手にはより一層の集中力が必要だ。ズラトコ・ダリッチ監督がどこまで対策を練っているかという部分も非常に重要になってくるだろう。
イングランドが注意しなければならないのは、クロアチアのポゼッションに対し冷静さを失わないことだ。ボールを支配されているからといって焦って前に出てしまえば、前線への飛び出しには定評のあるアンテ・レビッチやアンドレイ・クラマリッチという選手が一瞬の隙を突いて裏のスペースを突いてくるだろう。特にレビッチはパワーとスピードを兼ね備えた重戦車。イングランドDF陣からすれば厄介な相手となるだけに、この点は注意しなければならない。
「黄金世代」のクロアチアか、若き力が目を覚ましているイングランドか。フランスの待つ決勝へ駆け上がるのは、どちらのチームになるだろうか。
(文:小澤祐作)
【了】