ディナモ・キエフ在籍時のオグニェン・ヴコイェヴィッチ氏【写真:Getty Images】
クロアチアサッカー連盟(HNS)は9日、同国代表のコーチングスタッフの一人であったオグニェン・ヴコイェビッチ氏を解任し、ロシアワールドカップを戦う代表チームから離脱させることを発表した。
ヴコイェビッチ氏が解任された理由は、DFドマゴイ・ヴィダとともに政治的メッセージとも受け取れる動画を投稿したことだ。クロアチア代表は現地時間7日に行われた準々決勝のロシア戦に勝利を収めて4強進出を果たしたが、その試合後にSNSで投稿された動画が物議を醸した。
ヴィダとヴコイェヴィッチ氏は、約9秒間の動画の中で、「この勝利をディナモ(・キエフ)とウクライナに捧げる」と叫んでいた。これがウクライナとの軍事的緊張関係にあるロシアへの挑発だとも捉えられた。ディナモ・キエフはウクライナを代表するクラブの一つであり、ヴィダは今年1月まで所属。ヴコイェヴィッチ氏も現役時代に所属し、ヴィダとチームメートだった。
国際サッカー連盟(FIFA)ではこれを問題視し、クロアチアに警告を与えている。ヴィダとヴコイェヴィッチ氏はともに謝罪し、政治的意図はなかったと主張しているが、「残念ながらそのような解釈の余地があった」としてHNSはヴコイェヴィッチ氏の解任を発表した。
「連盟の決定を理解し尊重する。ワールドカップ準決勝という大一番の前に、チームが何よりも必要としているのは落ち着いた雰囲気であり、決して自分が重荷にはなりたくない」とヴコイェヴィッチ氏はHNSを通して声明を出している。
一方で、ウクライナではヴコイェヴィッチ氏を支持する動きもある。スペイン紙『マルカ』などが伝えるところによれば、ウクライナサッカー連盟会長を務める同国国会議員のアンドリー・パヴェルコ氏はクロアチアのユニフォームを着て10日の議会で登壇。ヴコイェヴィッチ氏に仕事を提供することを宣言して喝采を浴びたという。
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