あくまでチャレンジャー
試合の内容に華やかさはなくとも、堅実なプレーで確実に結果をつかみとる。それが今大会に挑むレ・ブルーの底力であり、その結果、アルゼンチン戦でもウルグアイ戦でも、枠内シュート数がそのまま得点数という、効率の良いパフォーマンスを実現した。
自陣がゲームをコントロールしているときは波に乗れるが、相手に主導権を握られると一気に消沈するという大会前には顕著だった弱点も、1−2と逆転された後で4-3と再度ひっくり返したアルゼンチン戦でコンプレックスを打ち破り、自信を手に入れることができた。
そんなフランス代表を取り巻く状況は、期待はあるが、加熱しすぎることなく淡々としている。チームにプレッシャーをかけすぎないためにも良い熱量だ。
8日のレキップ紙の表紙は、『目指すは月!』というタイトルに、ロケットの入り口で、ティボー・クルトワ、ロメル・ルカク、ケビン・デ・ブルイネが待つところへ、ジルーとデシャン監督、FFFのノエル・ル・グラエを乗せたジープが向かっている、ベルギーの漫画、Tintin風イラストだった。フランスが挑む側と、とれるような作図だ。
「かかってこい!」と相手を待ち受けるのではなく、チャレンジャーとしてベルギーに挑み、気負いなく、やれることをやる。そんなプレーの先に、勝利があると確信しているのだろう。
(文:小川由紀子【フランス】)
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