試金石となる19年1月のアジア杯
とはいえ、全く実績も経験もない20歳前後の面々がすぐにA代表に戦えるわけではない。2019年1月にはアジアカップもあるため、少なくともその時点まではロシア組の多くに頑張ってもらうしかない。長友や吉田、香川はもちろんのこと、「密かに4年後を目指す」と語っている乾貴士、目下、20代後半に差し掛かっている2012年ロンドン世代の大迫勇也、酒井宏樹、原口元気らはさらなる奮起が求められるところ。
彼らの中に、ロシアでは出番のなかった大島や遠藤、落選の憂き目に遭った久保や中島、浅野、井手口らを組み込むと同時に、20歳前後の世代で結果を出している堂安、伊藤らを入れて戦ってどのような結果を出せるのか。そこが4年後を占う1つの試金石になる。
「僕らは立ち止まってはいけない。ベスト16に行ったことで満足してはいけないし、実質問題、コロンビアにしか勝っていない。本当に国際舞台で勝つためにどうすればいいのか考えながら行くためには、まずは勝ち続けること。次はアジアカップがあるし、韓国、イラン、サウジアラビア、オーストラリアというロシアで悔しい思いをしたチームがチャンピオンになろうと全力を出してくる。僕たちもまたアジアカップを奪い返しにいかないといけない。まずはそこからだと思います」と新リーダーの吉田は語気を強めたが、この大会で4年後の日本代表の輪郭が見えていなければ厳しい。
そこに若い世代の一体、誰が入ってくるのか。「ポスト・長谷部」「ポスト・本田」になりそうな人材が出てくるのか。個性の薄い今の若手にそこまで求めるのは酷かもしれないが、長谷部も本田もA代表に入った頃はそこまで頭抜けた存在感を示していたわけではなかったし、代表定着するまでに時間を要している。そう考えると、ちょっとしたきっかけで大化けする若者が出てこないとも限らない。
現実は厳しいが、日本サッカー界に漂い始めた前向きな機運を削がないようなタレントの出現を待ち望むしかない。
(取材・文:元川悦子)
【了】