大会後すぐに出る新監督報道への違和感
まず今大会とこの4年間の検証をすべきだ。結果が出たからという短絡的な理由で「これが日本のスタイルだ」と帰結させるのではなく、何ができて・何ができなかったのかの分析が必要だ。それをもって今後の方針を決め、監督人事はそれからのはずである。
クリンスマン氏をめぐる噂は日本が敗退してすぐに出た。根も葉もないガセネタではないことは私も確認している。そうなると、大会中あるいは大会前に声をかけていたことになる。検証もできていない段階で、新監督選びに着手するのは違和感を覚える。
そして、それを一部の報道陣にリークする意図はどこにあるのか。ワールドカップが終わり、検証すべきことは山ほどある。ハリルホジッチ氏を解任せざるを得なかった原因の解明もその1つだ。うがった見方をすれば、わざわざ新監督情報をリークしているのは何か隠したいことがあったからではないかとも思ってしまう。杞憂であるといいのだが。
同じくベスト16に進出した8年前の言説を読み返すと、数人の記者は「この結果に浮かれることなく適切な検証を」と警鐘を鳴らしている。だが、この8年間の歩みを見ていると検証作業は十分ではなかったように思える。
今一度繰り返したい。結果が出た今こそ、十分な時間をかけて検証・分析作業をし、それを可能な限りオープンにすべきだ。日本代表は日本サッカーの頂点であり、そこでの成功と失敗はあらゆるサッカー人の知見となるだろう。
ロシア大会で得たものは必ず次世代につなげなくてはならない。歯を食いしばり、限界を超えて結果を掴みとった西野ジャパンの奮闘を無駄にしてはいけない。
(文:植田路生)
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