検証ないまま新監督招聘へ。危険な流れ
西野ジャパンがロシアワールドカップ・ベスト16のベルギー戦で壮絶な試合で散り、その熱狂も冷めぬ間に、日本代表の新監督をめぐる報道が加熱している。
なかでも最有力候補とされているのがドイツ人のユルゲン・クリンスマン氏だ。現役時代はドイツ代表のFWとして得点を量産。指導者としては2006年ドイツ・ワールドカップで母国を3位に導き、2011年から監督を務めたアメリカ代表では2014年ブラジル・ワールドカップでベスト16に進出させている。なお、2016年に成績不振により解任され現在はフリーである。
クリンスマン氏が日本に適任なのか否か早くも議論を呼んでいるが、そもそも「早すぎ」ではないだろうか。新監督を選ぶよりも、まずはロシア大会およびこの4年間の検証をすべきだ。
ロシアでは結果は出た。しかし、振り返れば日本代表をめぐる方針はめちゃくちゃである。2010年南アフリカ・ワールドカップでベスト16に進出したものの、岡田武史監督が選択した守備的なサッカーを否定するかのように次の4年間はパス重視のスタイルへと変更。
イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督を招聘して攻撃的な「自分たちのサッカー」で挑むも撃沈。今度はまたも方針転換する。パスを重視しつつも相手に合わせて策を練るメキシコ人のハビエル・アギーレ氏を新監督に据える。ところが、アギーレ氏を八百長問題で解任せざるを得なくなる。
すると、次はボスニア人のヴァイッド・ハリルホジッチ氏。アギーレ氏よりも「相手重視」のハリルホジッチ監督は、これまでの日本サッカーにはない新たな風を吹かせ、ワールドカップ出場権も手にした。しかし、ワールドカップ2ヶ月前に突然解任された。
この8年、特にこの4年はあまりにドタバタすぎる。そして適切な検証がないまま新監督をめぐる報道が出てくる。危険な流れだ。