2-0からのプランニングを持っていたのか?
もちろん、そうした戦術オプションまで完璧に機能させるのは代表チームではほぼ不可能に近い。それでもベースの戦術をいかなる時も変えることなく相手の罠にハマるよりは、多少ぎこちなくても明らかに効果的な戦い方を選んでいく方が勝率は高まる。
日本がベルギー戦で2-0から逆転されてしまった一方で、準々決勝でフランスがウルグアイを2-0のまま押し切り、さらにベルギーがブラジルに2-0のまま勝利したことで、“2-0が危険というのは日本だけで、海外では2-0は安全な点差である”という意見を多く見る。
それは正しい見解かもしれないが、単にピッチで戦っている選手の経験不足からくるものではなく、リードして迎えた終盤に応じたプランニングをチームとして持っているかどうかが問われる部分も大きいと考えられる。
例えばフランスが2-0でリードしてからデシャン監督は中盤の底に大型MFのエンゾンジを投入して、守備を強化してきた。エンゾンジは中盤のカバーリングと人に対する強さ、正確なボールさばきに加えて、空中戦でセンターバックのサポートもできる。ただ、それは駒として守備の強い個人を投入する効果だけでなく、守りきるメッセージにもなる。
ベルギー戦の最後にカウンターから逆転ゴールを奪われたシーンについては状況判断が裏目に出た形で、それも日本の課題を表しているのは間違いないが、その前の時点での試合の進め方により課題があると考える。
ただ、それは選手が状況判断を磨くということだけでは解決できないオプションの不足という問題があり、ここから4年間でなるべく監督交代なくベース作りからオプション作りまで一貫することで、より解決していける領域だと考える。
(取材・文:河治良幸)
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