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代表 6年前

“黄金世代”クロアチア、4強躍進の要因。強さの秘訣は西野監督も「重視したもの」【ロシアW杯】

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ポリバレントなチーム

クロアチア代表
前線の4人は全員がポリバレントだった【写真:Getty Images】

 それは、主力選手のほとんどがポリバレントということ。

 そもそもポリバレントとは「複数のポジションをこなすことができる選手」という意味。日本でも、イビチャ・オシム元監督が用いたことで知っている人も多いだろう。ユーティリティープレイヤーと同義語でもある。

 クロアチアはまさにそれだった。

 この試合でも本来モドリッチが務めるトップ下を任されたのは、クラマリッチだった。その意図は、ロシアの長身CBを避けるため。つまり、1トップのマリオ・マンジュキッチが2CBと競り合うよりも、中盤底の位置まで下がってボールを収めた方が確実だということ。その後ろに空いたスペースをクラマリッチが使う。ゲームメイカーのモドリッチより、もともと所属するホッフェンハイムではCFとしてプレーする背番号9の方が、こうした飛び出しは上手い。実際試合の中では、マンジュキッチよりクラマリッチの方が前でプレーしている場面も多かった。背番号9がトップ下、1トップを巧みにこなすことができるため、こうした選択肢も視野に入れることができるのだ。

 そしてサイドのペリシッチとアンテ・レビッチもまさにポリバレントな選手である。前者は、利き足がどちらかわからないほど左右両足の精度が高い。そのため、右でも左でも躊躇なくプレーすることが可能。また、後者は所属するフランクフルトでCFとしての役割も果たしている。スピードとパワーに長けるため、代表ではサイドハーフとしての起用が多いが、試合の中ではCFのような位置でクロスに対応する場面も多い。

 マンジュキッチも、ユベントスではサイドハーフでのプレーをこなしている。そのため、このロシア戦ではマンジュキッチ、クラマリッチ、レビッチ、ペリシッチの4人が流動的にポジションを入れ替えるというシーンも多かった。それにより、DFはマークの受け渡しに困惑し、連係が乱れる。今回のクロアチアはチャンスをあまり生かすことができなかったが、この試合、上の4人だけで計11本ものシュートを浴びせている。確実にシュートまで持ち込む体勢、マークを剥がすことには成功しているとみていいだろう。

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