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代表 6年前

「愛のないセックス」はいらない。ドイツ、スペインを打ち砕いた新時代。8強進出国の共通点【ロシアW杯】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

王者ドイツもポストプレーに屈した

チチャリート ヨルゲンセン
メキシコのハビエル・エルナンデスやデンマークのニコライ・ヨルゲンセン(左から)も重要なゴールをポストプレーで演出した【写真:Getty Images】

 メキシコがグループリーグ初戦でドイツを打ち砕いた会心のゴールも、ポストプレーが生きた。最終ラインのエクトル・モレノから局面を一気に前進させる縦パスが出ると、反転しながら受けたハビエル・エルナンデスがアンドレス・グアルダードにワンタッチで落とし、マッツ・フンメルスの背中をとってフリーで前向きにリターンを受ける。

 ゴールまでに残ったDFはこの時点でジェローム・ボアテングのみ。最後の砦を自分のところに引きつけたチチャリートは、左から猛スピードで駆け上がってきたイルビング・ロサーノにボールを託し、若き韋駄天がマヌエル・ノイアーの守るゴールを陥れた。モレノの縦パスからわずか10秒ほどで完結した高速カウンターの中で、チチャリートの真骨頂とも言えるポストプレーが大きな役割を果たした。

 デンマークもグループリーグ第2戦のオーストラリア戦でN・ヨルゲンセンの巧みな落としから、クリスティアン・エリクセンが鮮烈なボレーシュートを突き刺した。ここでもショートカウンターの局面でポストプレーが相手守備陣を慌てさせ、オーストラリアは空けてはいけないスペースを空けてしまった。

 ゴールへの道筋が効率的に整理され、それに対する守備の対応も緻密に組み立てられていく中で、単純ではありながら相手の組織バランスを崩す有効な手段としてポストプレーが活用されている。そして上位進出国には必ずと言っていいほどプレーのレパートリーの中にポストプレーがある優秀なアタッカーがいる。

 単に大柄な選手がパワーを誇示するだけでなく、俊敏性やインテリジェンスでもスペースを攻略し、ゲームの秩序を壊す「ポストプレー」。ゴールへの直球の「愛」を示す上で、その魅力を最大限に引き上げるワンアクセントが欠かせない。準々決勝以降で繰り広げられる世界最高峰の戦いで、それがどのようにチーム戦術に組み込まれ、活用されていくか注目してほしい。

(文:舩木渉)

【了】

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