籠城戦への1つの解答
EURO2016は“ティキ・タカ”後の攻撃の切り札が何かを各国が探るような大会だった。猛威をふるったスペインのティキ・タカも対策が進んで威力が半減し、籠城戦を挑んでくる相手をいかに攻略するかは強豪国の悩みの種だった。
ドイツはマリオ・ゲッツェのゼロトップでスタートし、ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドとナニのウイング2トップを組んだ。しかし、誰も確たる解答を得られなかった。フランスはジルーの高さで打開の道を探り、やがてアントワーヌ・グリーズマンとの縦のコンビに活路を見出した。ドイツはマリオ・ゴメスに回帰し、他の国々もサイズに望みを託している。
「日本にとっては望ましい傾向ではないが、これが現実だ」
当時のヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督もそう話していた。
フランスと準々決勝で対戦するウルグアイは守備を固めるだろう。アルゼンチン戦の高速カウンターをみればウルグアイでなくてもそうする。今大会はパスワークにも進歩のみえるウルグアイとはいえ、もともとは堅守が売り物のチームなのだ。
フランス最大の武器はエムバペを中心とするカウンターアタックだが、ウルグアイ戦でそれを使えるのはリードした後になりそうだ。それまでは籠城戦上等の南米の雄に対して、ジルーの戦闘力を使って勝負することになるだろう。屈強なDFと屈強なFWによるパワフルな攻防が繰り広げられそうだ。
(文:西部謙司)
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