「守備の原則」が勝負を分けた
今大会、懸念の1つにあったのは日本の4バックの並びが、高さだけでいうとアンバランスだったことです。背の高い吉田(麻也)選手と酒井宏樹選手が右側に、より背の低い昌子(源)選手と長友選手が左側に固まっていました。2失点してからのベルギーは日本の右サイドを崩し、背の低い選手が多い左サイドにヘディングで競り合わせる、というハッキリとした狙いを持って攻めてきたように見えました。
フェライニのヘディングシュートによる2失点目は、結果的にセットプレーの流れからでしたが、相手が明確な狙いを持って攻め込んできた時に防ぎきることができませんでした。そうなった時に中を固めるのか、攻めてくるサイドに蓋をしにいくのか、いくつかの策が考えられる中で、チームとしても選手個々としても有効な手を提示できませんでした。
3失点目に関してもいろいろなことが議論されています。日本がチームとしてあの時間帯の流れをどう捉えていたのか。延長戦に持ち込ませず勝ち切りたかった気持ちが出過ぎてしまったように感じましたが、リスクを冒さず最低限同点で延長戦に持ち込むことを考える必要もあったかもしれません。これは結果論で語るしかなくなってしまいますが、チームにどのような意思統一があったのかは疑問が残ります。
失点に繋がるコーナーキックの場面で、こぼれ球を拾うためのポジションにいる乾選手を、シャドリがマークしていました。本田(圭佑)選手がボールを蹴った瞬間、乾選手が少し前に出てこぼれ球を狙おうとしたところをシャドリが入れ替わって、裏に走られてしまいました。結果的に、そのシャドリがゴールを決めたのですが、こぼれ球が乾選手のところに転がれば逆のシナリオがありました。そこが勝負のアヤというところでしょうか。
この試合では、このプレー以前にもコーナーキックからカウンターを受けた場面がありました。ベルギーの選手たちは守備のコーナーキックではありますが、カウンターのチャンスだと感じていたかもしれません。逆に言えば、そこに危険な匂いを感じることができなかった日本。そのほんのわずかの勘所で、勝負が入れ替わってしまったのです。