「今後長いこと語り継がれる試合に」
ロシアワールドカップ開幕前のFIFAランキングでは3位と61位。決勝ラウンド1回戦のベルギー戦前、識者たちはこぞって日本代表の惨敗を予想していた。
しかし、蓋を開けてみれば、日本代表は大善戦した。序盤から高い位置で積極的にプレッシャーをかけ、ベルギーを驚かせて前半を0-0で乗り切ると、後半には48分と52分にゴールを決めて2-0とリードする。その後も、68分までは完璧な試合運びをしたが、最終的には個々の能力に上回るベルギーに力負けを喫した。
英国メディアの反応は、結果的には同じ負け試合になったとはいえ、グループリーグ最終戦のポーランド戦とは好対照だった。
『ガーディアン』紙は「ワールドカップのクラシック(最高水準)として、ワイルドでカオスのような試合だったと今後長いこと語り継がれる試合になるだろう」とし、日本代表については「素晴らしい戦いぶりで、スリリングな後半に特大の貢献をした。ベルギーは肝を冷やしたはずだが、最終的には西野朗監督と選手たちは報われなかった。色々な面で、非常に酷なエンディングとなってしまった」と記している。
『テレグラフ』紙も「このワールドカップは次から次へとドラマを生み出して、我々を飽きさせない。いつまでも語り継がれるはず」と、この日本戦を含んだロシア大会全体を称賛した。
『BBC』でこの試合の解説を務めた元選手たちも、口を揃えるように日本代表のプレーを評価している。元ドイツ代表で、アメリカ代表の監督なども務めたユルゲン・クリンスマンは「エネルギーに満ち溢れ、素晴らしいパスサッカーをしていた」と前半の戦いぶりを褒め、後半についても「アメイジングだった。最高のファイトを演じた日本代表は恥じることなく前を向いて帰っていい。自分たちを犠牲にして、全力を尽くした」としている。
元イングランド代表主将のアラン・シアラーも「(前半は)エネルギーが漲っていた。高い位置から人数をかけてプレスをかけて、勇気のあるサッカーを展開していた。恐れていなかった。(後半45分間は)最高のエンターテインメイトだった。茶番のようだったポーランド戦とは大違いで、積極的に攻撃して、すべてを捧げて勝つ気持ちで臨んでいた。信じられないエンターテイメントだった」と喜んだ。
また、『BBCラジオ5』に出演したジーコがFIFA会長選挙に立候補した際のアドバイザリー役を務めたブラジル人のリカルド・セティヨン氏も興奮した様子で次のように語っていた。
「乾(貴士)はアンビリーバブルな選手だし、本田(圭佑)も素晴らしい選手。彼らはワールドクラスで、この試合の日本は最低でも延長戦に値するプレーをした。アメイジングな仕事をしたと思います」