圧倒的に足りなかった時間
西野ジャパンは選手層が極端に薄かった。効果的なサブメンバーは岡崎と本田圭佑のみと言っていいほど。ベルギーが交代によってパワーアップしていったのとは対称的だった。
このような事態に陥ったのは結局のところ時間が足りなかったからだ。4月初旬に監督に就任した西野朗氏には2ヶ月しか準備期間がなかった。短期間で戦えるチームを作り、結果を出したことには称賛しかないが、チームの「最適解」以外の部分は確立できなかった。
選手の離脱により戦い方はどんどん削られていき、人選でも苦労した。あと1・2試合多くできれば、ワールドカップで戦える選手をより選別できたのではないか。11人のベストメンバーを見いだせたこと自体、奇跡的とも言えるかもしれないが。
そうなると、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任劇に帰結してしまう。彼は3年をかけて人を選び、戦い方を磨いてきた。もちろんハリルホジッチ氏だったら勝てた、などと言うつもりは毛頭ない。だが、準備期間の短さはベスト8に届かなかった1つの要因であり、無視してはいけない。
わずかな準備で結果を出した監督、選手など現場チームの奮闘は、それはそれとして高く評価すべきだ。一方で、突然の監督交代をしなければならなかった原因について、日本サッカー協会はしっかりと検証すべきだ。
田嶋幸三会長は帰国後の記者会見で言った。「すべてがサッカーを文化にすることにつながっている」と。であるならば、不明瞭な根拠でハリルホジッチ氏を解任したことを忘れてならない。「素晴らしい試合をしてくれました」などというありきたりな褒め言葉で、しゃんしゃん総会にしてはならない。
(取材・文:植田路生)
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