ブンデスリーガの衰退が代表に影響
最後に5、「弱いブンデスリーガ」。昨季のCLで、決勝トーナメントに進出したのはバイエルンだけだったように、ブンデスリーガのクラブはヨーロッパの大会での競争力を失いつつある。そのバイエルンも準決勝でレアル・マドリーに敗れた。12/13シーズン以来、ブンデスリーガのクラブは優勝はおろか、決勝にも辿り着いていない。
『エクスプレス』電子版は「ドイツサッカーは、いまやただバイエルンを通してのみ国際レベルに遅れずに付いていくことができる」と記している。ロシアのメンバーでは、23名中15名がブンデスリーガのクラブでプレー中。自国リーグの衰退傾向が、代表チームにも影響を及ぼした、ということだ。
このように、ここでは5つの観点からドイツ代表の敗因について考察してきた。この5つの敗因を振り返ると、ロシアでの歴史的敗退を経て、ドイツサッカーはブラジルW杯で優勝を勝ち得たスタイルから、根本的な変更を迫られているとも言えるのではないか。
もちろん敗因はこの5つに限らない。これまで培ってきた全てを変える必要はないだろう。メンタル面も踏まえてメンバー構成を見直せば、次のEUROでは、ワールドカップ連覇の期待が掛かったサッカーを今度こそ実現できるかもしれない。
しかし負けてしまった以上、何かを変える必要はあるのではないか。今後はブンデスリーガの在り方も含め、広い範囲で自国の環境そのものも見直されていくかもしれない。そもそも勝ったとしても変わろうとするのがドイツサッカーである。
7月3日、ドイツサッカー協会は、ヨハヒム・レーブ監督の続投を発表。“修正力”が問われているのは、敗北の味を知った指揮官だけではない。
(文:本田千尋【ドイツ】)
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