長谷部が代表引退。一時代の終わり
原口元気と乾貴士のゴールで2点をリードしながら、ヤン・フェルトンゲンとマルアン・フェライニ、ナセル・シャドリに3点を食らい、まさかの逆転負けを喫したロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦。
一夜明けた3日、日本代表はベースキャンプ地・カザンに戻り、最後のメディア対応に臨んだ。
すでに前夜、4年後のカタールワールドカップを目指さないことを表明し、代表引退も示唆した本田圭佑は「今日はもう話すことはないから、しばらく経ってから」と取材に応じなかったが、感謝の意を伝えたメディアに対して「僕の方も感謝しています」と清々しい一言を口にした。
その本田に続いて代表引退を正式発表した長谷部誠も報道陣の前に姿を現し、「自分の中では大会前から決まっていた。今は本当にやり切ったという感覚がある」と晴れやかな表情をのぞかせた。
その長谷部の代表引退の報を聞いて、次期キャプテン候補最右翼の吉田麻也は大勢のメディアの前で人目をはばからず涙を流した。「彼の姿勢から学ぶことが沢山あった。この大会が終われば、長谷部さんだけじゃなくて、長くやってきた選手たちとやれなくなるという覚悟はあった。本当に寂しいですね。どうあがいても僕は長谷部誠にはなれないので、僕は自分のスタイルで代表チームを引っ張っていかなければいけない」と次なる4年に向けて、新たな決意を口にした。
吉田が語ったように、ロシアワールドカップで日本代表の1つの時代が終わったのは事実だ。長谷部と本田という2大看板が去り、香川真司も4年後を目指すかどうか考えあぐねている状況だけに、2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会を経験してきた面々に頼らないチーム作りを進めなければならない。
今大会を通してワールドカップ初参戦だった乾が奮闘し、原口、柴崎岳、昌子源も今後の軸を担えるだけの存在感を示したが、乾はすでに30歳。原口も27歳、柴崎も26歳、昌子も25歳と決して若くない。今回は20代前半の若手が1人も試合に出られなかっただけに、今後の若返りは楽観を許さない。
日本代表の次期監督は7月中に決定すると見られる。今回の成績を踏まえて西野監督の続投が有力視されているが、ロシアの短期決戦で名采配を見せたベテラン指揮官と言えども、先々のマネジメントには苦労するだろう。