PK技術も高い世界最高のFW
延長前半はコロンビア、同後半はイングランドペースで進んだ30分間は両者ともにと得点なく、勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。
「PK戦」という響きは、イングランドにとってあまり良いものではない。というのも、ワールドカップの舞台では1990年イタリア大会、1998年フランス大会、2006年ドイツ大会といずれもPK戦で敗退を余儀なくされており、EUROでも3大会でPK戦を落としている。PK戦はイングランドにとって「呪い」そのものなのである。
しかし、今大会でスリーライオンズの若き戦士たちはその呪縛を解き放った。ジョーダン・ピックフォードのファインセーブもあり、4-3でPK戦をものにしたのである。
「PKは運」という言われ方もするが、この日2本PKを沈めたケインの技術力はやはりずば抜けていた。GKの届かないコース、それもとてつもない速さで落ち着いて決められる辺りは、もはや運ではなく技術そのものであった。
FIFA公式サイトでこの試合のマンオブザマッチに選出されたケイン。この日はストライカーとしての役割だけでなく、中盤の位置まで下がって試合を組み立てるなど、ゲームメイカーとしても機能した。普段とは違った色を出したのである。
そして持ち味であるゴール前での嗅覚も素晴らしいものがあった。「ここにボールが来る」という判断の速さは世界で5本の指に入ることは間違いない。それを今大会の3試合で証明している。ロシアの地で得点王候補はまだまだゴールを量産するはずだ。
点取り屋、ゲームメイカーとしてプレーでも魅せることができれば、24歳という若さであのスリーライオンズを見事なキャプテンシーでけん引できるハリー・ケインという男はまさに、世界最高のFWであると改めて確認させられた。
(文:小澤祐作)
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