出し尽くしたからこそ、たどり着けた課題
ただし、これは自業自得だ。日本サッカー協会(JFA)がヴァイッド・ハリルホジッチ監督を不可解な理由で解任したのが4月初旬。誰しもが「準備が短すぎる」と疑念を抱いた。限られた時間の中でチーム力を最大限に高めた西野監督には頭が下がる思いだが、ベスト8到達までのチームは作れなかった。
日本代表はまたもベスト16の壁を超えられなかった。だが、全力を出し切り、最大限やりきったからこそ見えたものもある。選手の質は十分に通用するレベルで、戦術的にも高いレベルを有している。特に攻撃面では戦えるどころか脅威すらなり得ることを示した。
課題は守備で、守るためのビジョンをどのように構築していくかが鍵となる。その一役を担っていたのがハリルホジッチ氏だったのが、4年後に持ち越しとなった。
日本サッカーは1つ上のステージに上がった。中堅国に片足を突っ込んだかもしれない。もちろん中堅レベルには、中堅レベルなりの課題がある。そこを克服していくのは並大抵のことではない。4年後、あるいは10年後・20年後を見据える必要がある。
ともかく、西野ジャパンの奮闘は今までとは違った課題を見せてくれた。その功績は大きい。悔しさはあるだろうが、胸を張っていい。いち記者としては「ありがとう」の気持ちが強い。
(取材・文:植田路生【ロストフ】)
【了】