限界を超えた西野ジャパン。何が足りなかったのか
西野ジャパンはこの試合では限界突破していた。
サイドの攻防では長友佑都と酒井は互角に渡り合い、香川と乾、原口のポジショニングは相手ディフェンスを混乱させた(そこを分断させようとしたケビン・デ・ブルイネは流石としか言いようがない)。大迫勇也は世界屈指のDF陣を相手にしても驚くほどボールを収めた。
吉田と昌子は一対一で負けることなく、また厳しいプレスにも慌てなかった。長谷部誠はほころびを事前にキャッチしてカバーリングに奔走し、柴崎はまさに司令塔としてチームをコントロールした。川島はミスもあったがスーパーセーブもあり、彼なしではさらに失点は増えていただろう。
選手たちは全力を出し切っており、能力以上のプレーをしていた。些末なミスを課題とすることはできるが、それをしても意味がない。限界を超えている選手たちがそれを克服するには、さらに時間をかけて自らを磨き上げなければならないからだ。
ベルギー戦で勝機はあった。それは確実に言える。だが、相手にも勝機があった。どちらにも勝機はあり、戦力差を埋めるために限界突破した西野ジャパンには称賛しかないが、軍配はベルギーに上がった。
では、何が足りなかったのか。それは時間だ。ワールドカップを2ヶ月前に控えた時期に監督となった西野氏には時間がなかった。香川、乾らの力を最大限発揮させる攻撃的なプランAは構築できたが、守り切るプランBを構築する時間はなかった。
また、有効なサブ組の発掘もできなかった。あとせめて1・2試合あれば、もう少し使える選手の精査もできたはずだ。厳しいことを言えば、本田と岡崎以外は有効な控え選手ではなかった。
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