平均身長185cm超。巨人軍団の武器は堅守
スイスは終始、スウェーデンの手のひらの上で転がされ続けた。現地時間3日に行われたロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦、欧州勢同士の対決を制したのはスウェーデンだった。
今大会3試合目のクリーンシート。スウェーデンの持ち味は何と言っても堅守にある。スイス戦もボールポゼッション率は37%で、相手にボールを持たれる時間は長かった。ただ、彼らにとっては自分たちの想定通りに動いてくれるスイスの戦い方はありがたかったはずだ。
そもそもスウェーデンにとってボールポゼッションは重要ではない。ワールドカップに入ってから50%を超えたのはグループリーグ初戦の韓国戦だけで、その後はドイツ戦で29%、メキシコ戦で35%、そしてスイス戦でも37%と、基本的には主導権を相手に渡しながら戦っていく。だが手綱だけは離さない。
ズラタン・イブラヒモビッチという圧倒的な個がチームを去り、勝つために現実的な変化を迫られた。欧州のトップレベルと渡り合うには、個人能力で劣る。ならば組織力だ、と。ヤンネ・アンデション監督に鍛え上げられたチームは、予選で同グループに入ったオランダを蹴落とし、プレーオフでイタリアを封じ込めた末にワールドカップへの挑戦権を掴み取った。
スイス戦でも、これまで地道に築き上げてきた戦い方にブレはなかった。スウェーデンの守備にはボールを失った後の即時奪回を目指すゲーゲンプレッシングのような考え方はなく、まず4-4-2のブロックを敷いて安全な位置まで撤退していく。
そこから2トップを先頭にパスコースに規制をかけていき、相手をサイドへ誘導していく。4バックは基本的にペナルティエリアの幅を保ったまま最終ラインの上下動をコントロールし、中盤の4人をボールサイドに寄せながら相手を追い込んでいく。
サイドからクロスを上げられても、スウェーデンにとっては何の問題もない。彼らはワールドカップ出場全32ヶ国中2番目に高い平均身長185.2cmを誇るチームで、身長180cmを切る選手は2人しかいない(それも178cmか179cmだ)。最終ラインには身長192cmのアンドレアス・グランクビストや同じく187cmのビクトル・リンデロフがそびえ立ちクロスやロングボールをことごとく跳ね返していく。