長谷部誠【写真:Getty Images】
ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦から一夜明けた現地時間3日、ベースキャンプ地のカザンに戻った日本代表はメディア対応を行った。
自身のインスタグラムで日本代表引退を表明した長谷部誠は、「もう大会前には、自分の心の中では決めていた。それが具体的にいつかって言われるとあまり覚えてはいないんですけど。ただ、なにかひとつの要素で決めたわけではなく、本当に様々な要素があったなかで、覚悟をもって決断したこと」と説明。そして「今は本当にやり切ったっていう感覚はあります」と胸のうちを明かした。
2006年にA代表デビューを果たし、3度出場したワールドカップではいずれもキャプテンを任された。常に勝利が求められる日本代表を束ねる身として「年々、苦しい時間は増してきたかなと思います」と言う。経験を積み重ねるにつれて、背負うものも増えていったのかもしれない。
「最初の頃はもちろん、あまり右も左も分からず、ただがむしゃらにやっていただけなので。ただやっぱりそれを、時が経つにつれて、勝手にですけど、自分勝手にですけど、背中に荷物をどんどん背負っていったっていうか。そういう感覚もありました」
代表チームのキャプテンを務めることがどれほどのプレッシャーか。それは究極的には本人にしかわからないことだろう。「大変なことも間違いなく多かったと思うんですけど」と言う長谷部だが、「それ以上に、誇りですかね。そっちのほうが大きかったです」と述べた。
世界と渡り合い、勝っていくためには日本らしいスタイルの構築が必要だと言われる。今大会で見せたもひとつの形になるはずだが、長谷部はこう語る。
「これだけ長い間、日本代表でプレーさせてもらっても、最終的な日本が目指すべきサッカーっていうのは、自分の中で確信できていない部分があって。それは、やはり世界のサッカーもどんどん変わっていくし、そういうものにどんどん対応していかなければいけないので。もちろん、日本人らしさとか、そういうものっていうのは、あるとは思うんですけど、相手も変わっていく。だからサッカーっていうのは生き物だなと思っているんで。そういう柔軟性も持ち合わせなければいけない。だからおそらく今、自分が持っている感覚っていうのと、5年後、10年後に持っている感覚はまた違ってきていると思うんで。難しいですね」
そして、今後の日本代表に伝えたいことを問われると、「もう頑張ってくれってしか言いようがないっていうか。日本サッカーは本当に段階を踏んで来ていると思うし、やはりそれを推し進めてほしい」とし、「これからの世代の選手たちには本当に期待したいなと思います」と述べた。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
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