遅咲きのストライカー
ベリは典型的なスウェーデンのFWだ。184センチの大型で空中戦に強い。ただ、この身長は北欧ではとくに長身の部類には入らない。2トップを組むオラ・トイボネンは192センチある。ベリには機動力もあり、足下のテクニックも安定している。
しかし何と言っても特筆すべきは得点力だろう。そんなにチャンスの数が多いわけでもないスウェーデンにあって、チャンスが来たら確実に決める。こればかりは何がどうというより決める選手は決める。興味深いのはベリの得点力がベテランの域になってから上がっていることだ。
シーズン最多得点は2016-17シーズン、パナシナイコスで24ゴールをゲットした。17-18はアル・アインに移籍して20試合で21ゴールとっている。それ以前の最高は08-09シーズンにさかのぼり、フローニンヘン時代に22得点しているが10年も前の話だ。
2シーズンで1点しかとれなかったブンデスリーガ(ハンブルガーSV)と、ギリシャやUAEではリーグのレベルは違う。ただ、ゴールゲッターはそういうこととは関係なく点をとる選手はとるものだ。チャンスをゴールに変える、ボールと自分とDFとGKとゴール、この関係性に瞬間的に解を出す能力というのは、あまりリーグのレベルに関係がない。
守備に計算の立つスウェーデンが勝ち上がるにはゴールがカギになる。エミル・フォルシュベリのヒラメキ、セットプレーの空中戦、そしてベリのゴールセンス、そのどれかがあればスウェーデンは上昇気流に乗ることができる。
(文:西部謙司)
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