日本代表は2-0から逆転負けを喫した【写真:Getty Images】
【日本 2-3 ベルギー ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦】
日本代表は現地時間2日、ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と対戦し2-3で敗れた。
後半開始直後の48分、柴崎岳のスルーパスに抜け出した原口元気が先制ゴールを奪う。さらにわずか4分後には乾貴士が追加点を挙げ、リードを2点に広げた。しかし、ベルギーが次々に交代カードを切ると流れは日本の手から離れていく。69分、74分に失点すると、最後は後半アディショナルタイムに逆転弾を決められた。ベルギーを追い詰めた日本代表だったが、史上初のベスト8進出を果たすことはできなかった。
勝つチャンスはあった。だが、結果を見ればベルギーがギアを上げ、勝負どころで力を発揮したとも言える。日本代表の選手たちは試合後、2点リードしてからの戦い方に言及している。
10番を背負って躍動した香川真司は「結果論なので、あとで何とでも言えてしまうんですけど」と前置きし、こう語っている。
「やはり2-0になった時にゲームをリズムであったり、そういうのを読み取る力、そういうところの経験はやっぱり本当に厳しいところでやらないとわからないところはあります。2点差っていうのは確実に、海外でやっていたらゲームを終わらせられる状況ではあったので。そういうところはやっぱり僕たちはまだまだ経験が足りなかったのかなと。チームとしてやはりいい経験になったけど、だから勝ちたかったですね」
また守備の要として最終ラインを束ねた吉田麻也は、メンタル面でベルギーの後手を踏んだという見解を示した。
「こういうビッグチームに対して2-0で70分までプレーできていて、そこから3点返されるのは、もちろん相手が大きい選手を入れてロングボールや、中に簡単なクロスを入れ始めたとか、セットプレーからの失点もありましたけど、やっぱり僕は精神的な脆さが出たんじゃないかと感じます。それは経験から来るものなのか、自信からくるものなのかはわからないですけど、向こうは多くの選手がビッグクラブでプレーしているので、その強さは僕らが学ばなければならない部分だと思います」
2-0は危険なスコアと言われる。相手が目の色を変えてゴールに向かってくるのと同時に、それによって自分たちが劣勢だと必要以上に意識してしまうことも試合の流れが激変する要因だろう。なりふり構わず攻めてくる相手には同等以上の気持ちで対抗しなければ押し切られてしまう。
「2-0になってミスが増えたし、やっぱりちょっと受け身になって、裏へのボールよりも足下足下になった。そのミスを突かれて攻撃を受けて、なんとか踏ん張るけどまたCK、セットプレーからやられてしまうのは。結局、僕たちは小さいしフィジカル的には弱いので、そうなる前に止めなければいけない。もうちょっと試合をうまくマネジメントできたと思います」
キャプテンの長谷部誠も「手ごたえよりも個人的にはやはり失望というか悔しさが上回っている」と振り返ったが、複数得点で相手を突き放した後の試合の進め方に悔いが残った。
収穫と共に課題も持ち帰ることになった西野ジャパン。過去に日本は2度、ワールドカップで決勝トーナメントに進出しているが、ゴールを挙げたのは今回が初めて。2002年日韓大会はトルコに0-1で敗れ、2010年南アフリカ大会のパラグアイ戦では0-0のまま延長戦を含む120分を終え、PK戦の末に散った。それだけに、今回のベルギー戦で2得点を記録したことは称賛に値する。ワールドカップにおいて日本が新たな一歩を踏み出したとも言える。
だからこそ、この敗戦をただの1敗で終わらせてはいけない。リードを守りきるのか、さらに加点して試合を決めるのか。そうした点でも今後、成長していかなければならない。ベルギーとの死闘は、日本サッカー界に新たな宿題を投げかけている。
【了】