空爆で同点、カウンターで陥落
ベルギーの空爆は激しくなる中、GK川島を中心に懸命に守る。ベルギーの1点目は偶発的に決まった。乾のぎりぎりのクリアは高く上がってペナルティーエリア右へ落下、フェルトンゲンは頭に当てただけだったが、これが絶妙のループシュートとなってゴールイン。この失点は日本にとっては不運だったが、ゴール前に釘付けになればこういうことも起こりうる。さらにアザールのクロスからフェライニのヘディングで2-2。
ミドルプレスはすでに機能していない。ゴール前への撤退を余儀なくされ、ベルギーの攻勢が続く。柴崎に代えて山口、原口を本田に交代。多少持ち直すかと思ったのも束の間、ミドルゾーンでの食い止めはもはや不可能だった。
それでも香川の絶妙なタメからの鋭いパスで本田が抜け出して左足を振り抜くが枠外。ロスタイムには本田の長距離ブレ球FKからCKをとり、ラストチャンスに賭ける。ところが、本田のキックはGKクロトワに捕球され、そこからベルギーが一気にカウンターへ。デブルイネの高速ドリブルから最後はチャドゥリに決められた。ベルギー最大の武器であるカウンターが最後の最後で飛び出し、試合を決めた。
GKとDFに高さのあるベルギーに、あえてCKを高く入れたのは議論が分かれるかもしれない。延長前に勝負に出たのだろうが結果的には裏目だった。
ベスト8の壁は厚かった。だが、日本代表史上でも特筆されるべきプレーを見せ、ベスト8へ肉薄した。称賛に値し、代表史上でも特記すべきチームだった。
(文:西部謙司)
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