西野朗監督【写真:Getty Images】
【日本 2-3 ベルギー ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦】
日本代表は現地時間2日、ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦でベルギー代表と対戦し、2-3で逆転負けを喫した。
ワールドカップ開幕約2ヶ月前、日本代表の指揮を執ることになった西野朗監督。急ピッチでチームを作り、決勝トーナメント1回戦でベルギー代表に逆転負けを喫したが、世界の舞台で存在感を示した。
ベスト8進出こそ果たせなかったが、ベルギーを追い詰めたのは間違いない。西野監督は、自身が就任する前に日本を率いていたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督について言及した。「ハリルホジッチ監督が積み上げて来られたスタイル、チームにもたらしたものは大きいと思う。私も継承すべきところはしなければいけない。選手に染み付いているものもある」と、前体制で培ったものを残しつつ自らの“色”を加えていった。
「オリジナリティとは言えないが、何かアクセントをと。継承するための自分なりのアプローチは選手に、チームに与えてきたつもりです。当然、ハリルホジッチ監督が伝えてきた『コンタクトの強さ』や『縦への速さ』も間違いなく必要。選手もそういう感覚持っている」
“ハリル流”と“西野流”。2つの要素が噛み合ったからこそ今回の躍進があった。「自分なりの変化を選手が理解して、ここ1ヶ月取り組んでくれた成果かなと思います」と、指揮官は選手たちの姿勢を評価した。
その選手たちの中には、4年前のブラジルワールドカップで悔しい思いをした選手が多数いた。8年前の南アフリカ大会を経験した者もいる。
「4年前のブラジルでベスト16に入れなかった思いは選手だけでなく全員が(持っている)。コロンビアにグループリーグで負けた。あの瞬間の思いは計り知れない。そこから4年間積み上げてきた選手たちの今大会に対する思いは、初戦のコロンビアへのリベンジの思い。8年前にPK戦で落とした過去もあるので、(今回は)ベスト16に何としてでもという思いがチームにあった。自分としても突破した後の今日のゲームに向け、チーム力を万全にする中で戦いたかった。過去2大会のラウンド16とは違う感覚で臨ませたかった。チームの、大会に対してのプランはしっかり取れた中で戦えていた。やはりまだ力が足りないというのを見せつけられた。また4年後、今日をもって託したい」
過去のワールドカップでの経験が、今大会のベスト16進出という結果をもたらした面もあるだろう。そして、8強入りを逃がしたこのベルギー戦が次のカタールワールドカップへのスタートとなる。西野ジャパンが得たもの、残したものを日本サッカー界全体で繋いでいかなければならない。
(取材:植田路生、文・構成:編集部)
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