日本サッカーの未来を占う重要な一戦へ
また、ポーランド戦でも失点を喫したセットプレーの対応の見直しは勝つために必須です。「日本は高さがない」と言われますが、ポーランド戦は高さでやられたわけではなく、フリーにさせてやられました。前向きに考えれば、「見直すことができる」ということです。時間は限られていますが、基本的なことは最低限チームで確認しておくべきでしょう。
日本が世界を相手にした時に抱えている課題は、以前からさほど変わっていません。ボールはある程度握ることができ、時折攻め込むこともできます。しかし、結果、スコアで負けてしまいます。これを「決定力」で片づけていては、いつまでたっても前に進めません。決定力で劣るなら、いつ、どのようにリスクをとるべきなのか。日本が世界で勝つためのバランスを見つけていかなくてはなりません。
今大会の日本代表はそこにトライしてくれていると思います。セネガル戦が象徴的で、最終的に2-2の引き分けで終わりましたが、あと一歩までいきました。ベルギー戦はもう一度そこにトライしてくれるでしょう。そのためにも勝つことからの逆算が重要です。今の日本の選手の力量からすれば、人数をかけて攻めにいっていいサッカーをする、ベルギーに対しても「何となくやれた感」を残すのは可能ですが、勝つのはもっと難しく、繊細かつ大胆な判断が要求されます。
サッカーは勝利から逆算した戦いをして勝てるか、勝てないのかというジレンマをずっと抱えながらするものです。ベンチメンバーの使い方も含めて、適切なバランスを判断していきながら、最後に勝ちに持っていくようなゲームプランをどこで描けるかというのは、ワールドカップのようなお互いが勝ちを目指す真剣勝負でしか測れません。
ベスト16でのベルギー戦では、真剣勝負の中でこのミッションに取り組む姿が見られるわけですから、観戦する私たちにとってもこれからの日本サッカーを考えるうえで大いに参考になる試合になるのではないでしょうか。
(分析:岩政大樹、構成:編集部)
【了】