ポーランド戦で崩れた中盤のバランス
ポーランド戦で日本は、前の試合からスタメンを6人入れ替えました。もっとも特徴的だったのは、酒井高徳選手を右サイドハーフで起用したことでしょう。相手のディフェンスラインにプレッシャーをかけるために2トップを採用し、サイドからの攻撃をケアするための酒井高徳選手の起用だったのだと思います。
無失点に抑えながら時計の針を進めるという意図が、西野朗監督が選んだスタメンから見えてきました。ただ、4-4-2のブロックを作ってミドルゾーンで守備をする基本姿勢に変わりはありませんでした。
とはいえメンバーが違えば守備のディテールにも違いが出てきます。これまでは2トップ気味の配置から守備をスタートさせつつ、若干ですが、大迫(勇也)選手が前に出て、香川(真司)選手が下がり目に立っていました。
ところがポーランド戦の2トップ、岡崎(慎司)選手と武藤(嘉紀)選手は似た特徴を持っていることもあり、守備時も並列関係になっているように見えました。また、セントラルMFの柴崎(岳)選手と山口(蛍)選手も並行なまま前に出てくることが多く、その背後のスペースがこれまで以上に使われやすくなっていました。
これまでは長谷部(誠)選手が下がり目に立つことでバランスを取っていましたが、ポーランド戦の場合は攻撃的な柴崎選手、守備的な山口選手という特徴では分かれていても、どちらかというと前に出ていくタイプの2人のベクトルの向きが揃ってしまっていました。するとボールがぽろっと背後にこぼれた時に、セントラルMFが2人とも置いていかれるような現象が発生していまいます。
それによって相手にバイタルエリアで前を向かれ、センターバックが晒されてしまうシーンは、これまでの2試合よりも多くなっていたように思います。お互いに攻め合う展開ではなかったので、回数としてはそれほど多くありませんでしたが、危険なシチュエーションだったのは間違いありません。柴崎選手と山口選手のコンビで戦うときは、2人のバランスを修正しておく必要があるでしょう。