アザールもメルテンスも日本を警戒。コンパニ復帰し、最高の状態
EURO2016ベスト8。伏兵ウェールズと対戦したベルギーは、前半早々に先制するも、その後3発をくらって逆転負け。ラッキーパンチでたまたま負けたというものではない。思うようなプレーがまったくできず、完敗だった。
見事なアップセットとなったこの試合をベルギーでは恥ずべきものとして認識している。そして繰り返してはならないと。E・アザールは「状態が良くなかった」とウェールズ戦を振り返る。そして「今は何をすべきなのか、何をすべきではないのか、すべてわかっている」と。
日本に対して最善を尽くすことが選手たちの共通認識としてもある。E・アザールが「ブラジルのことは考えていない。ブラジルが勝つかもわかっていない。そして、僕たちが日本に勝つかもわかっていない。今は日本戦のことだけを考えている」とすれば、ドリース・メルテンスも「日本は洗練されている。コンパクトなチームでコロンビアに勝利し、ポーランドを敗退させた」と警戒を怠らない。
イングランド戦で復帰したコンパニは日本戦に向けたトレーニングでもまったく問題なかった。マルティネス監督も「100%可能」と断言する。彼が出場するとなると、さらに守備は硬くなり、グループリーグとはまた1つ上のレベルになる。これが完成形かつ、ベルギーの「本当の姿」と言っていい。
ベルギーは完璧な状態で、周到な準備をしてきた。彼らにとって相手がどこであるかは重要ではない。日本であろうとブラジルであろうと、全力で叩き潰す。油断もなく、最高のベルギーはそこにある。
対する西野ジャパンもベスト8を見据えての準備をしてきた。どちらも決勝トーナメントに照準を合わせて準備をして勝ち抜いてきた。最終戦で何人かを休ませたのも同じだ。準備が同じだった場合、どこで差がつくのか。個の力か、あるいは監督の采配か。
優勝候補が全力で叩き潰しにくる。これは日本サッカー史になかったことで喜ばしいことでもある。マルティネス監督は言った。「ワールドカップは何でも起こりうる」と。日本が勝つこともある。ただし、5-0で負けることもある。
(取材・文:植田路生【ロストフ】)
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