ベルギーメディアが見ている日本戦の「その先」
「ところで、優勝できると思う? ブラジル戦があってさ」
ベルギーメディアは浮かれている。彼らの練習場に取材に行くと、日本人はTV関係者以外は(恐らく)私だけなので、何度もベルギーメディアから取材を受けた。「日本対ベルギーはどうなる?」といったありきたりな質問の後に、彼らは必ずブラジル戦について聞いてきた。ベルギーは日本に勝てば、次はベスト8。ブラジル対メキシコの勝者と対戦する。
実力差を考えれば当然かもしれない。世界屈指のタレントを擁するベルギーは大会前から優勝候補の一角に数えられていた。彼らとしては実力を世界に見せつけたい。グループリーグで対戦したパナマやチュニジアでは不十分で、イングランド戦は両チームがメンバーを落とした試合だった。そして日本でも不十分なのだ。
ベルギーは長い低迷期があった。EURO2000、2002年日韓ワールドカップに出場して以降は、しばらく国際舞台から遠ざかった。ヴァンサン・コンパニ、ケヴィン・デ・ブルイネ、エデン・アザールらが台頭し、ようやく復帰できたのが2014年ブラジルワールドカップとEURO2016。ともにベスト8で悪い結果ではないが、今大会ではさらなる躍進を望んでいる。
彼らは自分たちの代表チームが充実した状態にあると認識している。ロベルト・マルティネス監督体制では約2年間にわたって無敗。負けを知らない。「マルティネス監督になってタレントがまとまって組織的なチームになったのでは?」とふると、嬉しそうに「そうなんだ、チームは変わったんだよ!」と返ってきた。
国際舞台でベスト8の殻を破ること。ベルギーメディアにとっての共通の目標設定はそこだ。だが、チーム側はそうは思っていない。