両サイド攻撃の“嫌らしさ”
ワールドカップで3度目の決勝トーナメント進出を果たした日本代表は、現地時間2日に初のベスト8進出をかけてベルギー代表と対戦する。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が率いていた昨年11月にアウェイで親善試合を行い0-1で敗れているが、ベルギーはロベルト・マルティネス監督のもとで当時よりもチームの完成度を高めており、当然ながら本気度は段違い。こういう舞台でFIFAランキング3位の強豪と真剣勝負ができるのはワールドカップ決勝トーナメントの恩恵とも言えるが、日本にとっては1つ間違えば大敗の可能性もありうる危険な相手だ。
スタメンを見渡しただけでも目移りするほどのタレント集団であるベルギー。ここまで4得点のロメル・ルカク、2列目のエデン・アザールとドリース・メルテンス、中盤のケビン・デ・ブライネとアクセル・ヴィッツェル、守護神ティボ・クルトワなど市場価値にして日本の10倍とも言われる陣容は、誰か1人を注意すれば問題が解決するものではない。個人技が主体ながら戦術面もバランスが良く、デ・ブライネらを起点にバリエーションある攻撃を仕掛けてくる。
守る側の注意は前線のルカク、さらにE・アザール、メルテンス、デ・ブライネに集中しやすい。彼らに一瞬でも隙を与えれば鋭い仕掛けや強烈なミドルシュートを繰り出してくるので、当然警戒する必要はあるが、ベルギーの攻撃に明確なアクセントを加える存在がいる。サイドハーフのトマ・ムニエとヤニック・カラスコだ。サイドを縦に突破してのクロスや、カットインからのミドルシュートは想定しやすいが、ベルギーの両翼はインサイドよりの嫌らしいポイントに入り込んで決定的なシーンに絡んでくるのだ。
5-2で勝利したグループリーグ第2戦のチュニジア戦で象徴的なシーンがあった。前半アディショナルタイムに右サイドでデ・ブライネがボールを拾うと、ムニエがタイミングよくパスを引き出してペナルティエリアに持ち込み、スルーパスでルカクのゴールをアシストしたのだ。そのムニエは初戦・パナマ戦の先制ゴールをアシストしたようなシンプルなクロスも危険だが、デ・ブライネやメルテンスがボールを持った時にタッチライン側よりインサイド寄りにポジションを取って絡んでくる。