ベルギーでの5シーズンが大きな糧に
かつてベルギーで5シーズン戦ったことも彼の大きな自信につながっている。
「長くベルギーでプレーしていたし、まさかワールドカップでこういう形でやれるとは思っていなかったんで、何か運命のようなものを感じます」と本人も言うが、その経験値は財産に他ならない。
例えば、ロメル・ルカクであれば、彼がアンデルレヒトにいた時に対戦経験があるはずだし、GKティボー・クルトワもヘンク時代からよく知っている。彼らも長い年月を経て大きな成長を遂げてはいるものの、未知なる選手よりは感覚的につかみやすい。そこは一瞬の判断と反応が求められるGKにとってのアドバンテージだ。
日本代表が2013年11月と2017年11月に2度の親善試合を行っていることも、ベルギーの主要選手の特徴を理解する助けになっている。例えば、昨年11月のブルージュでのテストマッチでは、日本の守備が4人もいながらケヴィン・ミララスの中央突破を許し、アッサリと折り返され、ルカクにフリーで決められている。
今回ミララスは選ばれていないが、同じような崩しをエデン・アザールが得意としている。それによってルカクがフリーになれば、川島といえども簡単には止められない。そういうスキを作らないために、守備陣全体を最後尾から統率していくことも、彼に託された重要な責務と言っていい。
このステージからはPK戦があることも、川島の存在価値をより際立たせる可能性がある。実際、ここまでのラウンド16の4試合のうち2試合がPK戦へ突入し、ロシアとクロアチアが勝っているところを見ると、かなり高確率でそこまでもつれることが考えられる。
そこで彼に生かしてほしいのが、8年前の南アフリカでの経験だ。ご存知の通り、2010年大会のラウンド16・パラグアイ戦で日本はスコアレスのまま120分戦っても決着がつかず、PK戦に勝負が委ねられることになった。そこで日本は3人目の駒野友一がミスしたが、パラグアイは全員が冷静に決めて、手をかけたはずの8強を惜しくも逃している。