アイスランドやスイス、韓国のようなモチベーションを
日本代表は今大会でまだ無失点試合が一度もない。現実的に、今大会の最多得点チームを完封できるとは考えにくい。であれば、ボルゴグラードでの後味の悪い記憶を打ち消すためには、ベルギーに対して全力で攻撃を仕掛ける以上のやり方はないだろう。
ここまでの試合でも、チームが最も良い状態に見えたのは前向きにプレーしている時だ。コロンビア戦の後半や、セネガル戦の後半のいくつかの時間帯には、柴崎岳や乾貴士、大迫勇也がファイナルサードで大いに相手を苦しめていた。
さらに本田圭佑も、試合を動かすサブプレーヤーとして用いられることに異論はない様子だ。彼らしく自信に満ちたプレーで違いを生み出し、実際に決定的なゴールやアシストを供給している。
グループステージではアイスランドやスイス、韓国といったチームがそれぞれアルゼンチン、ブラジル、ドイツを相手に番狂わせを演じた。日本もそういったチームの戦いぶりをモチベーションとしてベルギー戦に臨まなければならない。
不利が予想されるのは間違いない。ロストフ・ナ・ドヌでの試合にもし勝てたとすれば今大会最大のアップセットのひとつということになるだろう。しかし、避けがたい運命に屈するようではベルギーを勝たせてしまうだけだ。自信を持ってボールを扱い、前に人数をかけ、リスクを冒そう。
その結果として力が及ばなくとも、少なくとも格好良く大会を去ることはできる。結果以上に戦いぶりの方が重要だと言ってもいいほどだ。その点で日本代表が期待に応えられれば、勝敗にかかわらず、ポジティブなムードは再び戻ってくるはずだ。
(文:ショーン・キャロル)
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