PK戦で敗退も19戦無敗の力を示す
1-1のまま120分を終えた試合は、総合的に見ればデンマークのペースで進んでいたと言える。それでもクロアチアは、やはり世界最高のMFモドリッチが一瞬の隙を逃さなかった。
115分、デンマークのクローン・デリがセンターサークル付近でトラップを失敗し、ボールが流れるとこれをモドリッチが拾って前線へ一気にスルーパスを送る。これに反応したレビッチがDFラインを抜け出し、GKをもかわして無人のゴールに流し込むかと思われたが相手のファウルによってPKとなった。
結果的にはモドリッチのPKはデンマークのGKキャスパー・シュマイケルのビッグセーブによって止められたものの、劣勢の中で一瞬の隙を突いた技術と判断力は世界最高レベルであることを証明していた。
PK戦へともつれ込んだこの試合は、スバシッチとシュマイケルの両GKで5本ものシュートがストップされる白熱の展開となった。結果的にスバシッチが3本を止めたクロアチアに軍配が上がったが、デンマークのパフォーマンスも敗戦に値するものではなかった。
ゴールシーンだけではないサッカーの醍醐味を存分に見せてくれたデンマーク。この一戦もPK戦での敗退だけに公式記録上は引き分け。これで国際Aマッチ19試合無敗を継続することとなったが、それが実力によるものであることは存分に示した。
(文:海老沢純一)
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