今大会が「集大成」
「途中から出るというのが有力だと思いますけど、途中で出てもやるべきことの整理はついているんで、得点に絡む動き、プレー、アイディアをしっかり出す準備に時間をかけたい」と背番号4もゴールかアシストといった目に見える結果を残すべく、自分自身を研ぎ澄ませている。
仮にベルギー戦でゴールすれば、ワールドカップ3大会通算5点目という日本代表においては前人未到の数字を叩き出すことになる。しかも、日本は2002年日韓、2010年南アフリカの過去2回のラウンド16でゴールを奪えていない。その壁を超えられるのは、重要度の高い局面で圧倒的な勝負強さを発揮できるこの男しかいないと言っても過言ではない。
実際、ベルギーの最終ラインは大柄で競り合いには強いが、一瞬のスキを見せることがある。「弱点はいくつかピックアップしているんで、それを他の選手に共有していますし、今日も試合を見て、また新たに気づいたところがあれば、それをしっかり共有して、対応したいなと思っています」と本田自身もすでに狙いを定めているだけに、期待は高まる一方だ。
「集大成」と前々から公言しているこのロシアの地で大仕事を果たし、史上最高成績の8強入りを現実にできれば、本人も悔いを残さずにワールドカップから去ることができるだろう。本田圭佑という男がこの華やかな舞台から遠ざかるのは本当に寂しい限りだが、「次(2022年カタール大会)は36歳でしょ。ちょっと考えられないですね」と発言している以上、ここが一区切りになる可能性が高い。だからこそ、このベルギー戦でこれまで積み上げてきたキャリアの全てを出し切ることに集中してほしい。
2008年6月のバーレーン戦(埼玉)で初キャップを飾ってからここまで97試合。本田圭佑は足掛け11年の間に彼は我々に驚きと感動を与え続けてくれた。その締めくくりになるかもしれない一挙手一投足を目に焼き付けるべく、ベルギー戦では背番号4の出番を心から楽しみに待ちたい。
(取材・文:元川悦子【ロシア】)
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