リオネル・メッシとキリアン・エムバペ【写真:Getty Images】
【フランス 4-3 アルゼンチン ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦】
現地時間6月30日に行われたロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦で、フランスはアルゼンチンに4-3で勝利した。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたFWキリアン・エムバペは、アルゼンチンにおけるFWリオネル・メッシのような存在なのかもしれない。
19歳の若さでフランス代表の10番を担うエムバペ。同選手への期待は以前から高かったが、メッシ擁するアルゼンチンを下したことで、さらに注目は高まるだろう。
ただ、フランス代表の中ではすでに特別な存在として扱われていたようだ。
国際サッカー連盟(FIFA)が公開しているデータを見ると、この試合でのエムバペとメッシには共通点がある。「運動量の少なさ」「休んでいる時間の長さ」だ。
終了間際に交代となったエムバペは、この試合での走行距離が7.632km。フル出場したメッシは7.675km。両者とも、ほぼフル出場した選手の中ではチームで最も少ない。
FIFAのデータでは、動いている速度を5段階に分け、それぞれの割合も計測している。時速0~7kmの時間も2人は他のチームメートを大きく上回っており、エムバペは81%、メッシは85%だった。8割を超えているのはフィールドプレーヤーでこの2人だけである。
運動量の少なさが非難の対象となることもしばしばあるメッシだが、それは決定的なところで最大限の力を発揮させるための選択でもある。フランスも重要な局面に備えてエムバペの力を温存させているとみることができそうだ。
時速0~7kmの時間が80%を超えるのは、日本代表の選手では考えにくい。グループリーグ3試合ではセンターバックでせいぜい75%前後。攻撃の選手で70%を超えているのは、コロンビア戦の乾貴士と大迫勇也、ポーランド戦の宇佐美貴史の3人だけ(先発に限る)。セネガル戦にいたっては、先発のフィールドプレーヤーのうちセンターバックを除く全員が60%台だった。
全員が走るサッカーは日本の長所であり、それがあってこそのグループリーグ突破だ。ただ、そういった中で違いをつくるために力を蓄えている選手もいる。
【了】