スアレス対C・ロナウド。そしてカバーニ
スアレスはゲンゴロウのように急旋回する。DFとのコースの取り合いでは、頭からねじ込んでいく。競り合いでのファウルも常套手段、きれいごとでゴールを奪おうとは思っていない。さすがに今回噛みつきはしないと思うが、点をとるためなら何でもやる。その必死さもどこか肉食動物を思わせる。
対戦相手のポルトガルには世界最高のゴールハンター、ロナウドがいる。ただ、ウルグアイはスアレスだけでなくカバーニもいるのが心強い。これも肉食動物と似ていて、ストライカーは持続性がない。強度の高いプレーを続けるのは不可能で、休息時間がどうしても必要になる。ウルグアイもポルトガルもエースストライカーを酷使しないように休ませているが、ウルグアイは2人いるのでどちらかは稼働できる可能性がある。ロナウド1人のポルトガルに比べると、もしかしたらこの点で有利かもしれない。
ワールドカップはグループリーグからノックアウト・ラウンドに入った途端に試合の傾向が変わる。固い試合が急に増え、それまでの攻撃的な傾向は何だったのかというのがパターンだ。守り合いが予想されるウルグアイ対ポルトガルだけに、ストライカーたちの一瞬の動きから目が離せない。
(文:西部謙司)
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