酒井宏樹【写真:Getty Images】
ロシアワールドカップ・グループリーグH組第3節のポーランド戦から一夜明けた現地時間29日、日本代表が練習を行った。
ポーランド戦でも右サイドバックとして先発フル出場を果たした酒井宏樹は、“あの時間帯”をこう振り返っている。
「普通のことだと思いますし、何でしょう…どの職業の人にも言えることだと思いますけど、1度でもその道に対して極めようと思った人たちであれば、あの戦い方は理解できると思います。本気だからこその戦術なので。まあ、僕らは1つになってましたけど、色んな意見があると思いますし、そこはもう関係なく、見返せるっていうか結果で示せるように」
後半、酒井はベンチとは反対側のサイドにポジションを取っていた。そのため、セネガル対コロンビアの途中経過を把握するのは簡単なことではなかった。背番号19は「僕は不安でしたけどね、逆サイドだったんで。でも交代カードとかを見る限りではまあ大丈夫なのかなと思っていました」と話す。
そして74分、コロンビアがジェリー・ミナのゴールで先制する。西野朗監督は「0-1のままでいい、イエローカードをもらうな」というメッセージを長谷部誠に伝え、同選手をピッチに送り込んだ。酒井は、「交代に何かしらメッセージは込めてくれると思っていた」とその場面を振り返る。
日本はそのまま後ろでボールを回し、試合を終わらそうとしていた。もちろんポーランドもリードしているため、無理にボールを取りに行こうとはしない。だが、リスクもあった。この時点でセネガルが追いついてしまえば、日本はグループ3位に転落。すなわち敗退を余儀なくされてしまう。しかし、ピッチに立つ11人に迷いはなかったと酒井は述べる。
「迷いはなくやっていたと思います、11人は。といっても疲労がすごかったので、あの戦い方になってくれて僕らは良かったですし、幸いにしてポーランドも追ってこなかったので、そこは非常に助かった部分ではあります」
結局、セネガルは追いつくことができず。この結果、日本は2大会ぶり3度目のベスト16入りを果たしたのである。しかし、酒井は西野監督に難しい判断をさせてしまったことに、責任を感じている。
「(西野監督が)責任は自分にあるってことはすごく言っていました。まあでも選手としてはそういうチョイスを取らせてしまったことに責任はすごい感じました。僕たちが2-0で勝ってるとか、1-0で勝ってるとかならそんなことはする必要はなかったですし、まあ究極の決断をさせてしまったのは僕らでもあるんで、チームとして責任は感じてます
日本のこうした戦いぶりには賛否が分かれているが、決勝トーナメント進出を決めたという紛れもない事実が変わることはない。次の相手はベルギー。気持ちを切り替え、立ち向かわなければならない強敵だ。
昨年11月の欧州遠征で対戦した際には0-1で敗れている。酒井は「11月の時ですら、かなりすごいチームだったので、今はもっと熟成してると思いますし、モチベーションも高いと思うので。そのチームとやれるってことはすごくいいことですし、この舞台に来て、また決勝トーナメントに進むことで見られなかった世界を見れると思うので、もう1歩進むためにも倒したいですね」と意気込む。
まだ辿り着いたことのないベスト8へ。西野ジャパンの躍進はどこまで続くのか。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
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