「ベスト8プラン」。見せた勝負師の真髄
まずプランの起点としてベスト8進出があった。そのためには、ベスト16に進出するだけではダメで、そこで勝たなくてはいけなかった。
ベスト16に全力で挑むために、チーム全体の疲労を回復させる。そして、ポーランド戦を「しのぐ」必要があった。
西野ジャパンは、選手のコンディションや疲労度について細かく数値化し、管理している。それをもとに、どのくらいプレーできるのか、休養はどれくらい必要なのかを判断する。印象ではなくデータで決めているのである。
詳細は明らかにされていないが、その数値をもとに「ベスト8プラン」を構築していったはずだ。単なるギャンブルではない。
ただ、敗退が決まったポーランドのテンションは試合開始までわからず、コロンビア対セネガルの展望も予想でしかない。バッファが多いなかで最終的な決断は西野監督に委ねられた。これはサッカーというよりも、勝負の世界に生きる勝負師としての生き様に近い。
西野監督は大きな絵を描きつつ、目まぐるしく動く試合の流れを掴み、瞬時の采配によって引き寄せる。今回は「他力」という言葉を使っていたが、それを決めたのはあくまで自分であり、「他人任せ」という感覚はない。
並の精神力ではできない。常人には理解できないだろう。ベスト8という日本サッカー未開の地を見て采配をふるった西野監督に、勝負師の真髄を見た。
(取材・文:植田路生【ヴォルゴグラード】)
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