ボール回しで時間を潰す。つまらない試合だが…
史上最悪、世紀の凡戦と言っていい試合だった。
6月28日、ロシアワールドカップ・グループリーグ最終戦。日本代表はポーランド代表に0-1で敗れた。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる試合で、セットプレーからあっさりと失点。これまでの2戦の躍動感はまるでなかった。
裏で行われていたコロンビア対セネガルは1-0でコロンビアが勝利。得失点差などでセネガルと日本は並んだが、イエローカードの数が日本の方が少なく、フェアプレーポイントにより日本が2位となった。
コロンビア先制の情報が入ると、西野ジャパンは試合を殺した。後ろでボールを回して時間を潰し、攻撃のスイッチを入れることはなかった。同点に追いつくよりも失点を防ぐことを優先。ポーランドもそれに付き合い、ボールを奪いに来なかった。試合後、ナバウカ監督は「1-0で十分だった」と素直に語った。
この試合単体で見ると、ポーランド戦は実につまらない。前半からリスクを減らして淡々と試合を進め、失点してからも追いつく気迫を見せない。会場からの大ブーイングも当然だった。
だが、単体で見ると最低な試合も、大枠で見ると違うものが見えてくる。西野朗監督は極めて大胆かつ恐ろしい勝負を仕掛けてきた。ベスト16進出を得るためのなりふり構わぬ試合運びではない。
誰しもがベスト16を見据えていたこの試合で、勝負師・西野だけは違う場所を見ていた。彼はベスト8を見ていたのである。