本田の最後の一刺しがポーランド撃破の鍵に
それだけ絶大な存在感を示せるアタッカーだから、スタメンでピッチに立っていて当然という考え方もある。香川が消耗しているポーランド戦はスタメン復帰の絶好のチャンスなのも確かだ。ただ、今大会のスーパージョーカーとしての凄みと鋭さが、先発起用されることで失われるのはもったいないし、日本代表にとっても損失だ。今の役割がはまっている今、本田はこのままベンチでここ一番の状況に備えるべきではないだろうか。
場合によっては香川は前半だけハードワークをして、その後本田にバトンタッチという形でも構わない。とにかく「一番怖い選手がベンチに控えている」と相手に印象付けることが、ポーランドに対しての大きな脅威になるはずだ。
「セネガル戦は2014年に僕らが目指した、僕がよく言っていたサッカーがよく表現できた戦いだったのかなと思います」と本田自身もコメントしている通り、現在の先発組の戦い方はよく機能している。ポーランド戦では何人かが変わるだろうが、香川がスタートからピッチに立っていた方がその状態を維持できる可能性が高い。
そこに本田が最後の一刺しを担当すれば、ポーランドにも勝てる可能性は高まり、グループHを1位通過できる。もちろんラウンド16の相手はイングランドかベルギーで、どちらが来ても難敵に他ならないが、1位通過した方が試合間隔が中4日と調整時間が長くなる。そこは大きなメリットだ。
そういった理想的な状況に持ち込むべく、本田には最後のフィニッシャーとしての自分を追求することが求められる。出場時間に関係なく、勝負を決める大仕事にとことんまで徹することができれば、ついに手に入れた理想的なサッカーでより長く戦うことができるはずだ。
(取材・文:元川悦子【カザン】)
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