無得点でもオーストラリアを上回っていたペルー
ファン・マルワイク監督は前任者のエッセンスを少々残しながら、格上の相手が揃ったグループでも破綻しづらいチームを作った。展開によってはピッチの幅を大きく使ってボールポゼッション率を高めながら攻めることもでき、押し込まれてもカウンターで一発を狙う形を残していた。
ただ、攻撃は右ウィングのマシュー・レッキーの個人能力頼みな傾向があり、停滞することもしばしば。イングランド・プレミアリーグのハダースフィールドで10番を背負うアーロン・ムーイの的確な配球は可能性を感じさせ、攻守に効いていたが、なかなかチームとして格上相手に決定的なチャンスの回数を増やすことができなかった。
例えばグループリーグ第2戦までで、ペルーは敗退が決まり、オーストラリアには勝ち抜けの可能性が残されていたが、スタッツが示した両者の立場は逆転状態だった。ペナルティエリア内でのタッチ数はペルーが「43」に対しオーストラリアが「29」。シュート数もペルーの「28本」とオーストラリアの「18本」には大きな差がある。
枠内シュート数もペルーが「8本」でオーストラリアの「5本」を上回った。さらに、オーストラリアが今大会で奪った2つのゴールは、どちらもPKによるもので、他のセットプレーやオープンプレーから得点した場面はなかった。ペルーは2試合とも完封負けを喫していたが、フランスとデンマーク相手に、チャンスの数そのものはオーストラリアよりも多く作っていた。
迎えた最終戦。ペルーのモチベーションは高かった。すでにグループリーグ敗退が決まっていたが、何とか1勝して帰国したいという強い思いがプレーに反映されていた。彼らはオーストラリアにボールを渡し、反撃の機会をうかがう。
昨年11月までオーストラリアを率い、現在横浜F・マリノスを指揮するアンジェ・ポステコグルー監督は「オーストラリアにとっては絶対に勝たなければいけない試合。これまで以上に攻撃的に戦う必要があるだろう。だが、ペルーには強力なカウンターがあり要注意だ」と26日の試合前に語った。